外国人インターンシップ採用とは?企業が押さえるべき制度・受け入れ体制・採用成功のポイント
人手不足や採用難を背景に、外国人材の採用を検討する企業が増えています。
特に注目されているのが、海外の大学に在籍する学生を、日本企業がインターンシップ生として受け入れる方法です。
外国人インターンシップは、海外の若い人材と接点を持ち、将来の採用や海外展開につなげられる可能性がある一方で、一般的な国内インターンシップと同じ感覚で進めることはできません。
在留資格、活動内容、大学の教育課程、受け入れ期間、報酬、労働条件、研修内容など、事前に整理すべき事項が数多く存在するためです。
制度に対する理解が不十分なまま受け入れを進めてしまうと、想定していた業務を担当してもらえない、在留資格と活動内容が一致しない、教育目的のインターンシップとして認められないといった問題が生じる可能性があります。
そこで今回は、11か国・海外70大学とのネットワークを持ち、1,100名以上の外国人材の受け入れや採用を支援してきた日本インターンシップ支援協会(JISA)の知見をもとに、外国人インターンシップ採用の特徴や、企業が注意すべきポイントを解説します。
外国人インターンシップ採用とは
外国人インターンシップ採用とは、海外の大学などに在籍する学生が、日本企業で一定期間の職場体験や実習を行う仕組みです。
単なる労働力の確保を目的とするものではなく、原則として、学生の教育や研修、キャリア形成の一環として実施されます。
海外大学が定める教育課程の一部として行われるケースでは、日本企業での実習が大学の単位取得につながることもあります。
学生にとっては、日本企業の仕事の進め方、技術、サービス、組織文化などを実務を通じて学べる機会です。
一方、受け入れる企業にとっては、海外の優秀な学生と早い段階で接点を持ち、自社との適性や能力を確認できるというメリットがあります。
ただし、インターンシップは、通常の外国人採用や短期アルバイトとは制度上の考え方が異なります。
企業側には、学生の所属大学、専攻、実習目的、担当業務、実習期間、教育プログラムなどを確認し、適切な受け入れ体制を整えることが求められます。
外国人採用では制度の選択が重要
外国人材を採用する際には、担当してもらう業務や本人の経歴などに応じて、適切な在留資格を検討する必要があります。
代表的な在留資格としては、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などがありますが、利用できる制度や条件は、業務内容や採用する人材によって異なります。
また、外国人インターンシップについても、実習の目的、期間、報酬の有無、大学の教育課程との関係などによって、必要となる手続きや在留資格が変わる場合があります。
重要なのは、まず外国人を採用し、その後で制度を当てはめるのではなく、企業が求める業務内容と採用目的を明確にしたうえで、適切な制度を選択することです。
例えば、企業が単純な人手不足の解消を目的としているにもかかわらず、教育目的のインターンシップとして学生を受け入れれば、制度の趣旨と実態が一致しない可能性があります。
反対に、学生の専門分野と関連する実習内容を設計し、大学とも連携した教育プログラムを用意できれば、企業と学生の双方にとって有意義なインターンシップになります。
外国人採用を成功させるためには、求人募集を始める前の制度設計が極めて重要です。
海外大学の正規教育課程として受け入れる意味
外国人インターンシップの中でも、海外大学の正規教育課程として実施される海外実習は、企業と学生の双方にとって大きな意義があります。
学生は、大学で学んだ専門知識を日本企業の現場で実践しながら、業務経験を積むことができます。
企業は、学生の専攻分野や能力、仕事への姿勢、コミュニケーション力などを、実際の職場環境の中で確認できます。
書類や短時間の面接だけで採用を判断する場合と比べ、一定期間一緒に業務へ取り組むことで、採用後のミスマッチを抑えやすくなる点も特徴です。
また、海外大学との継続的な関係を構築できれば、単発の人材採用にとどまらず、将来にわたって優秀な学生と接点を持てる可能性があります。
海外進出や外国人顧客への対応、新規事業開発、IT人材の採用などを検討している企業にとって、海外大学とのネットワークは重要な経営資源になり得ます。
ただし、大学の教育課程として実施するためには、学生を単なる作業員として扱うのではなく、学習目標や研修内容を明確にする必要があります。
受け入れ企業には、「何を経験してもらうのか」「何を学んでもらうのか」「どのように指導するのか」という教育的な視点が求められます。
外国人インターンシップで企業が注意すべきこと
外国人インターンシップの受け入れでは、特に次の点を事前に確認する必要があります。
1.在留資格と活動内容が一致しているか
外国人が日本国内で行える活動は、在留資格によって定められています。
実際に担当してもらう業務が、申請時に届け出た活動内容や制度の目的と一致しているかを確認しなければなりません。
受け入れ開始後に、当初の計画と異なる業務を任せる場合も注意が必要です。
2.教育目的が明確になっているか
海外大学の実習としてインターンシップを行う場合は、大学での専攻や教育課程と、企業での実習内容との関連性が重要です。
学生に何を学んでもらうのか、どのような能力を身につけてもらうのかを、受け入れ前に整理しておく必要があります。
3.受け入れ担当者を決めているか
外国人インターンシップでは、業務の指示だけでなく、生活習慣、言語、文化、職場でのコミュニケーションなどに配慮した支援も求められます。
社内で担当者を決めずに受け入れると、学生が相談できず、企業側も問題を把握できない状態になりかねません。
実務を指導する担当者と、生活面や手続きを支援する担当者を明確にすることが重要です。
4.労働条件や費用負担を明確にしているか
報酬、勤務時間、休日、住居、交通費、渡航費、保険などの条件は、受け入れ前に明確にしておく必要があります。
企業、学生、大学、支援機関の間で認識が異なると、来日後のトラブルにつながります。
口頭だけで説明するのではなく、可能な限り書面で確認することが重要です。
5.受け入れ後の管理体制があるか
外国人材の受け入れは、入国や採用が完了すれば終わりではありません。
インターンシップ期間中の面談、実習状況の確認、大学への報告、問題発生時の対応など、継続的な管理が必要です。
学生の状況を定期的に確認し、問題が小さい段階で対応できる仕組みを整えることが求められます。
外国人インターンシップ採用が向いている企業
外国人インターンシップは、すべての企業に適しているわけではありません。
特に相性がよいと考えられるのは、次のような企業です。
・海外展開や海外取引を検討している企業
・IT、技術、研究、設計などの専門人材を求めている企業
・将来的に外国人材の正社員採用を検討している企業
・若い人材に自社の技術や文化を伝えたい企業
・海外大学とのネットワークを構築したい企業
・外国語や海外市場に対応できる人材を確保したい企業
・採用後のミスマッチをできるだけ抑えたい企業
一方で、短期間ですぐに人手を補いたい企業や、教育・指導を行う余裕がない企業には適さない場合があります。
外国人インターンシップは、安価な労働力を確保するための制度ではありません。
人材の育成と企業の将来を見据えた中長期的な採用施策として取り組むことが重要です。
日本インターンシップ支援協会が提供する支援
日本インターンシップ支援協会は、外国人インターンシップ生の受け入れ支援を長年行ってきた経験をもとに、外国人材採用支援コンサルティングを提供しています。
単に学生や外国人材を企業へ紹介するのではなく、採用目的の整理、制度の選択、受け入れ環境の整備、教育プログラムの設計、海外大学との調整などを含め、外国人材を適正に受け入れるための体制構築を支援しています。
主な支援内容は、次の3つです。
制度設計とコンプライアンス体制の整備
企業の事業内容、募集職種、受け入れ目的、求める人材像などをヒアリングし、適切な採用方法やインターンシップの枠組みを検討します。
外国人採用では、企業ごとに業務内容や受け入れ条件が異なるため、他社の事例をそのまま当てはめるだけでは十分ではありません。
企業ごとの状況に合わせて制度を設計し、適正な運用につなげることが重要です。
教育プログラムと受け入れ環境の整備
インターンシップ生にとって有意義な実習になるよう、研修内容や実習スケジュール、担当者の配置などを調整します。
学生の専攻や大学側の教育目的と、企業で担当する業務との整合性を確認し、単なる就労ではなく、教育・研修として成立するプログラムを構築します。
海外大学と日本企業のマッチング
海外大学とのネットワークを活用し、企業の業務内容や求める人材像と親和性の高い学生を選定します。
国籍だけで判断するのではなく、専攻、能力、志向、語学力、実習目的などを確認し、企業と学生の双方にとって納得感のあるマッチングを目指します。
11か国・海外70大学とのネットワーク
日本インターンシップ支援協会は、アジアを中心とする11か国、海外70大学とのネットワークを構築し、これまでに1,100名以上の外国人材の受け入れや採用を支援してきました。
外国人材の採用では、候補者を集めるだけでなく、現地の大学や関係機関と連携し、学生の経歴や教育課程、実習目的などを確認することが重要です。
海外側とのネットワークを持つ支援機関が間に入ることで、日本企業だけでは把握しにくい現地の制度、大学の状況、学生の情報などを確認しやすくなります。
また、受け入れ後に問題が生じた場合も、海外大学を含めた関係者間で連携できる体制があれば、早期の対応につながります。
外国人採用を一時的な人材確保で終わらせず、継続的な採用ルートとして構築したい企業にとって、海外大学とのネットワークは大きな強みになります。
外国人採用は「採用する前」の準備で決まる
外国人材の採用では、募集や面接以上に、採用前の準備が重要です。
どのような人材を求めているのか、どの業務を担当してもらうのか、どの制度を利用するのか、社内で誰が支援するのかを明確にしなければなりません。
特に外国人インターンシップでは、企業の採用目的だけでなく、学生の教育目的や大学側の要件も考慮する必要があります。
制度を十分に理解せず、業者へ手続きを任せきりにするのではなく、受け入れ企業自身が制度の概要と責任を理解することが重要です。
適切な制度設計と受け入れ体制を整えることができれば、外国人インターンシップは、単なる人手不足対策を超えた取り組みになります。
海外の若い人材との接点、新しい技術や価値観の導入、海外大学との関係構築、将来の外国人採用など、企業の成長につながる可能性があります。
エキスパーツ編集部からの推薦
外国人採用を検討する企業にとって、最も大きな障壁となるのは、候補者が見つからないことだけではありません。
在留資格、受け入れ条件、教育内容、大学との連携、社内体制など、複数の要素を正しく組み合わせなければならない点に難しさがあります。
特に外国人インターンシップは、一般的な人材紹介とは異なり、教育・研修としての実態と、企業側の適切な受け入れ体制が求められます。
日本インターンシップ支援協会は、11か国・海外70大学とのネットワークと、1,100名以上の支援実績を持ち、外国人材の紹介だけでなく、制度設計や受け入れ環境の整備まで支援しています。
「外国人材を採用したいが、どの制度を利用すべきか分からない」「海外大学からインターンシップ生を受け入れたい」「将来の外国人採用につながる仕組みを作りたい」と考えている企業にとって、相談する価値の高い専門機関です。
外国人材の採用を単発の人手不足対策で終わらせず、自社の将来を支える採用戦略として取り組みたい企業は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
寄稿:株式会社日本インターンシップ支援協会 塚越 一嘉
編集:ハイタッチ・マーケティング有限責任事業組合 職務執行者 柳澤研
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