建設業許可の鍵を握る『経管』と『営業所技術者等』。要件や証明資料、実務経験の考え方を行政書士が解説。

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建設業許可の鍵を握る「経管」と「営業所技術者等」

建設業許可を受けるにあたっては、いくつかの要件があります。その中でも、「経営業務の管理責任者」と「営業所技術者等」は、許可取得の鍵を握る重要な要件です。

建設業許可のご相談を受ける際、「会社の社長だから経管は問題ないだろう」「現場経験が長いから許可を取れるだろう」と考えている方も少なくありません。

しかし、実際の許可申請では、単に経験や資格を持っているだけでは足りません。その経験が許可要件に該当するか、また、その事実を必要な資料によって客観的に証明できるかどうかが重要になります。

今回は、この2つの要件について、おおまかに解説します。

なお、必要となる確認資料やその取扱いは、都道府県等の許可行政庁によって異なりますのでご了承ください。

「経営業務の管理責任者」

「経営業務の管理責任者」、いわゆる「経管」とは、簡単にいえば、建設業に関して一定の経営経験を有する人を会社に置くという要件です。

「経営経験」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、代表的な例としては、一定期間、建設会社の社長や取締役等として経営に携わっていた方が該当します。

ただし、「以前から建設業を経営していました」と口頭で説明するだけでは認められません。その経験があることを、客観的な資料によって証明する必要があります。

また、必要となる確認資料は、許可を申請する都道府県等の許可行政庁によって異なります。A県では必要のない書類がB県では必要となるなど、証明の方法や難易度に違いがあります。

●常勤役員等(個人事業主の場合は本人又は支配人)のうち1人が次のいずれかに該当すること

(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者

(2)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者

(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者

このほかにも、2人以上の体制によって経管の要件を満たす方法がありますが、今回は省略します。

最も一般的な「5年以上の役員経験」

最も一般的なのは(1)の、建設業を営む会社において、株式会社等の取締役や持分会社の業務執行社員等の役員、個人事業主本人や支配人として、5年以上の経験を有するケースです。

申請にあたっては、「履歴事項全部証明書」や「閉鎖事項証明書」等によって役員等としての地位・在任期間を確認します。個人事業主の場合には、確定申告書の控えなどを用います。

また、その期間中に実際に建設業を営んでいたことについて、契約書、注文書・注文請書、請求書と入金記録などによって、経験の確認を求められます。必要となる資料の量は許可行政庁によって異なり、1年につき1件程度で足りる場合もあれば、より多くの件数を求められる場合もありますし、全く必要ない場合もあります。

なお、私の事務所がある岐阜県では、証明したい期間について、履歴事項全部証明書の目的欄から建設業を営んでいたことが確認できる場合には、基本的に契約書等の提出を求められない取扱いとなっています。

また、現在その会社で「常勤」であることも必要です。例えば、非常勤取締役は原則として認められません。常勤性については、健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書や、住民税の特別徴収税額決定通知書などによって確認します。

「執行役員経験」や「補佐経験」のケース

役員経験がない方でも、一定の条件を満たせば経管となる場合があります。

(2)は、取締役会設置会社において、取締役会の決議により、特定の事業部門について業務執行の権限を委任された者などが想定されています。

例えば、建設業部門について一定の権限を与えられた執行役員等が該当する可能性があります。

一方、(3)は、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあり、経営業務を補佐する業務に6年以上従事した経験を有する場合です。

「補佐する業務」としては、建設工事の施工に必要な資金の調達、技術者や技能者の配置、下請業者との契約締結などの業務が挙げられます。

例えば、工事部長等として長期間にわたり経営者を補佐してきた方が該当する可能性があります。また、個人事業主の場合には、事業主のもとで専従者として長期間業務を補佐していたケースも考えられます。

ただし、単に「工事部長だった」「専従者だった」というだけでは足りません。実際の会社関係書類を提出して、当該地位で業務に従事していたかを確認する必要があります。

個人事業主の専従者の場合には、確定申告書に専従者として氏名が記載されていることが、経験を証明する資料の1つとなります。また、法人の場合には、組織図、業務分掌規程、人事発令書等によって職階や職務内容を確認することになります。

これらのケースは、(1)と比べて判断が難しいため、許可行政庁への事前確認が重要です。

「営業所技術者等」

営業所技術者等は、以前「専任技術者」と呼ばれていた要件です。許可を受けようとする業種について、一定の資格または実務経験を有する者を、営業所ごとに配置する必要があります。

資格や経験を持っているだけではなく、原則としてその営業所に常勤して専らその職務に従事できる状態であることも必要です。

一般建設業の場合、主に次の3つのルートがあります。

① 有資格者ルート

1級・2級施工管理技士、1級・2級建築士、技術士、技能士など、許可を受けようとする業種に対応した一定の資格を有している場合です。

資格者証や合格証明書等によって確認できるため、比較的証明しやすい方法です。ただし、許可を受けようとする業種によっては一定期間の実務経験が必要となる場合もあります。

② 学歴+実務経験ルート

土木工学や建築学など、所定の学科を卒業し、その後、一定期間の実務経験を有している場合です。

例えば、大学卒業者で3年以上、高等学校卒業者で5年以上の実務経験が必要となるケースがあります。卒業証書等と、必要年数分の実務経験証明書によって証明します。

③ 10年以上の実務経験ルート

資格や所定の学歴がない場合でも、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験があれば、営業所技術者等になれる場合があります。

ただし、経験期間が重複しているものに関しては原則として二重に計上することは認められていません。そのため、1業種ごとに10年の実務経験が必要となり、2業種の場合は合計20年必要となります。ただし一部の業種間については期間の緩和が認められる場合があります。

実務経験は、自社での経験だけではなく、前職での経験を用いることもできます。その場合には原則として前の勤務先から経験を証明してもらう必要があります。したがって会社が既に廃業している場合や、前職との関係から証明を依頼しにくい場合には、大きなハードルとなることがあります。

なお、電気工事業や消防施設工事業など、一定の工事に従事するために資格の取得が必要となる業種については、工事内容によっては、10年の実務経験では営業所技術者等として認められない場合がありますので注意が必要です。

終わりに

以上、「経営業務の管理責任者」と「営業所技術者等」について、代表的な要件をご紹介しました。

建設業許可においては、「経験がある」「資格を持っている」というだけではなく、その経験や資格が要件に該当するか、そして、その事実を客観的に証明できるかどうかが重要です。

建設業許可の取得を検討される場合には、申請直前になって必要な経験や資料が不足していることが分かることのないよう、早い段階で経管や営業所技術者等の要件を確認しておくことをおすすめします。

ご不明な点があれば、筆者やお近くの行政書士等の専門家にご相談ください。

エキスパーツ統括事務局より

本記事は内容を審査のうえ、推薦掲載しております。
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寄稿:行政書士川上事務所
編集:ハイタッチ・マーケティング有限責任事業組合 職務執行者 柳澤研

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