求職者は求人票を見ていない~TikTok採用の集客支援で見えたZ世代の本音~

求人媒体は、スモールビジネスが最初から負けるように設計されている

まず、残酷な現実からお話しさせてください。

「求人広告を出しても応募が来ない」

「応募は来るが採用に至らない」

「採用できてもすぐ辞めてしまう」

私たちは日々、多くのスモールビジネス経営者からこのような相談を受けています。

しかし私は、その原因は会社の魅力不足でも、経営者の努力不足でもないと思っています。

問題はもっと根深いところにあります。

それは、多くのスモールビジネスが利用している求人媒体という仕組みそのものが、資本力のある企業に有利なルールで設計されていることです。

年収500万円の会社と700万円の会社が並べば、多くの求職者は後者をクリックします。

年間休日110日と125日なら、125日の会社が有利です。

知名度のある会社と聞いたことのない会社なら、前者が選ばれやすくなります。

これは経営努力の問題ではありません。

求人媒体という土俵そのものが、「条件比較」によって意思決定される構造だからです。

スモールビジネスがその土俵で大企業と戦うのは、ボクシングルールで相撲取りと勝負するようなものです。

勝負する場所を間違えているのです。

スペック競争の土俵に上がり、大手企業の引き立て役にされるのはもう終わりにしませんか。

私たちには、全く別の戦い方があります。


求職者が見ているのは給与ではない。人間関係の地雷を避けている

当組合では、TikTok採用サービスを提供する企業の集客支援に携わったことがあります。

その中で非常に興味深い気付きがありました。

今の求職者、特にZ世代と呼ばれる若い世代は、求人票に書かれた条件だけで応募を決めていないように見えるのです。

彼らが本当に見ているのは、

「この会社にはどんな人がいるのか」

です。

もっと言えば、

「人間関係で失敗しないか」

を見ています。

給与が多少高くても、

・上司が高圧的だったらどうしよう

・社内の雰囲気が悪かったらどうしよう

・相談できる人がいなかったらどうしよう

という不安を抱えています。

現代人にとって、人間関係は人生最大級のストレス要因です。

だからこそ求職者は、求人票の裏側にある「会社の空気」を必死に確認しようとしているのではないでしょうか。

給与や福利厚生は後からでも分かります。

しかし人間関係だけは入社してみなければ分かりません。

そのため彼らは本能的に、

「この人たちと働きたいか」

を確認しようとしているように見えます。

給与が多少低くても、人間関係が良い、安心して健やかに働ける職場を選びたい。

少なくとも私たちが見てきた範囲では、その傾向は年々強くなっているように感じます。


着飾った求人票より、社員が笑っている動画の方が強い

TikTok採用サービスを提供する企業の集客支援に携わる中で、私たちは様々な採用コンテンツを見る機会がありました。

その中で印象的だったのは、給与や待遇を前面に打ち出したコンテンツよりも、スタッフの雰囲気や職場の日常が伝わるコンテンツの方が強い反応を得ているケースが少なくなかったことです。

オフィスで談笑する様子。

先輩社員と後輩社員の自然なやり取り。

社長が自分の失敗談を語る姿。

そうした何気ない日常の発信に対して、

「雰囲気が良さそう」

「この人たちと働いてみたい」

という反応が集まる場面を目にしました。

もちろん、すべての業界や求職者に当てはまるわけではありません。

しかし少なくとも私たちが見た範囲では、求職者は求人票の条件だけでなく、その会社で働く人たちの雰囲気を非常に重視しているように感じます。

大企業が何百万円もかけて制作した採用パンフレットよりも、社員が自然に笑っている数十秒の動画の方が強く響く場面がある。

それが、私たちが現場で感じた率直な印象です。


求人サイトは条件比較。SNSは人柄との出会い

求人媒体とSNSでは、そもそも役割が違います。

求人媒体は条件を比較する場所です。

給与、休日、福利厚生、勤務地。

数字で比較されます。

一方、SNSは人柄と出会う場所です。

そこでは、

「この社長面白そうだな」

「この会社の雰囲気好きだな」

「この先輩優しそうだな」

という感情が先に生まれます。

そして興味を持った後で、

「仕事内容は何だろう」

と調べ始めます。

順番が逆なのです。

だからこそ、知名度のないスモールビジネスでも勝負できます。

人柄や空気感は、大企業よりもむしろスモールビジネスの方が伝えやすいからです。


人柄採用はオワコンではかった

一時期、「人柄採用」という言葉は流行語のように使われました。

しかし成果主義やスキル重視の流れが強くなる中で、いつしか時代遅れの考え方のように扱われるようになりました。

ですが私は、むしろ逆だと思っています。

人柄採用はオワコンではありません。

SNSの普及によって、再び重要になったのです。

昔は面接でしか分からなかった会社の雰囲気が、今では動画を通じて事前に伝わるようになりました。

だからこそ求職者は、

「どんな会社か」

よりも、

「どんな人たちと働くのか」

を見極めるようになっています。

条件競争では大企業に勝てない。

しかし人柄や文化、人間関係ならスモールビジネスにも十分勝機があります。

むしろそこにこそ、本当の差別化要素があるのではないでしょうか。


これからの採用は「待つ」から「届ける」へ

求人媒体に掲載し、

応募を待つ。

この採用手法は今後ますます厳しくなるでしょう。

もちろん求人媒体が不要になるわけではありません。

しかし、それだけに依存するのは危険です。

これからは、

「誰か応募してくれないかな」

ではなく、

「自社の魅力をこちらから届ける」

という発想が必要になります。

求職者のスマートフォンの中に入り込み、

会社の人柄や価値観を伝える。

それができる会社ほど採用に成功する時代です。

大企業と同じルールで戦う必要はありません。

スモールビジネスには、スモールビジネスなりの勝ち方があります。


採用できないのは、会社に魅力がないからではない

最後にお伝えしたいことがあります。

採用できないのは、会社に魅力がないからではありません。

求職者にその魅力が伝わっていないだけかもしれません。

良い会社なのに知られていない。

良い人たちなのに伝わっていない。

私たちはそんなスモールビジネスを数多く見てきました。

だからこそ必要なのは、求人広告を増やすことではなく、自社の魅力を正しく届ける仕組みです。


プロの採用体制を共同利用するという選択肢

専任人事を採用するほどではない。

しかし採用活動を放置するわけにもいかない。

そんなスモールビジネス向けに、エキスパーツメンバーシップでは「定額採用サービス」をご提供しています。

個々の企業が高額な人件費を負担するのではなく、プロの採用支援体制を共同利用することで、採用コストを抑えながら継続的な採用活動を実現します。

自社の魅力を発信する仕組みづくりから、人材との接点づくりまで。

あなたの会社の外部人事部としてサポートいたします。

採用できないのは、あなたの会社に魅力がないからではありません。

その魅力が、まだ求職者に届いていないだけかもしれません。


執筆者:柳澤 研
ハイタッチ・マーケティング有限責任事業組合 職務執行者

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