小規模企業の眠っている強みを、“成長するチーム”へ変える社内研修
「うちは少人数だから、社内研修までは必要ない」
「アットホームな社風で、社員は家族のような関係です」
小さな会社の経営者から、よく聞く言葉です。
確かに、社員数が少なければ、互いの顔が見え、意思決定も速くなります。しかし、近い関係だからこそ言えない不満や、長年固定された役割が見えにくくなることもあります。
小規模企業に社内研修が必要なのは、知識を教えるためだけではありません。関係性を整え、一人ひとりの強みを組み合わせ、限られた人数で最大の成果を生み出すためです。
「社員は家族」が、言えない空気をつくることがある
社員数の少ない会社では、関係がこじれても簡単に距離を置けません。社員は発言した後の評価や、これからも続く人間関係まで考えます。
「忙しい時は助け合って当然」
「家族のような仲だから、多少の無理は分かってくれるはず」
経営者の善意から出た言葉でも、勤務時間や役割の境界が曖昧になり、特定の社員への負担や長時間労働が常態化することがあります。
次のような兆候はないでしょうか。
- 会議では、いつも同じ人しか話さない
- 本人のいない場所では不満が出る
- 新規開拓や企画立案が、特定の一人に集中している
- 新しく入った社員が、しばらくすると発言しなくなる
- 問題が起きるたび、最後は社長が引き取っている
問題が表に出ていないことと、問題がないことは同じではありません。
凸凹を活かせなければ、1+1が0.5になる
小規模組織では、一人ひとりの働きが会社全体に大きく影響します。
ところが、本人の特性を十分に知らないまま、「営業経験が長いから部下育成も任せる」「古参だからリーダーにする」と仕事を割り振り、結果が出なければ「あの人はできない」と判断していないでしょうか。
営業力と育成力は別のものです。話す力と、人の考えを引き出す力も同じではありません。
互いの強みや弱みを知らずに組み合わせれば、1+1が0.5になりかねません。反対に、異なる力が噛み合えば、3にも10にもなります。
小さな会社の強さは、優秀な人を何人集めたかだけではなく、異なる力をどれだけ噛み合わせられるかで決まります。
社長が熱心でも、社内だけの研修では変わりにくい理由
ある印刷業界の団体では、小規模事業者の経営者が熱心に勉強会やワークショップを行い、学んだ内容を自社へ持ち帰って、社長自身が社員研修を実施していました。
ところが社員側の話を聞くと、その場が「社員の考えを引き出す研修」ではなく、社長の考えや学びを確認する時間になっているケースもありました。
経営者は「良い研修ができた」と感じる一方、社員には不満が残る。
社長が進行役を務めると、社員は無意識に“社長が望む答え”を探します。だから関係性づくり、ビジョン共創、会議改善では、役職や年次を意図的に混ぜ、外部のファシリテーターが発言の偏りを整える方が、組織全体で使える答えをつくりやすくなります。
研修後、欠員が出ても売上を維持できた会社
ある清掃会社で、8名のリーダーを対象に、4時間×3回の会議・ファシリテーション研修を実施したことがあります。
研修後、リーダーたちの部下への関わり方が変わり、一人ひとりの声を聞き、考えを引き出すようになりました。現場から自発的な提案が上がり、会社全体の雰囲気も変化しました。
その後、病気などで複数の社員が同時に欠ける事態が発生。しかし、経営側が細かく指示しなくても、社員同士が工夫して仕事を補い合い、売上を維持しました。
後日のインタビューで社長は、
「人数が減っても売上を維持できた。これは実質、売上が増えたのと同じですよね」
と振り返りました。
研修の成果は、その場の満足度だけでは測れません。非常時に、社員が社長の指示を待たず、互いの力を活かして動けるか。そこに組織の変化が表れます。
小規模組織が社員研修を行う、3つの大きな意味
小規模組織の研修には、次の3つの意味があります。
- 普段は言えない期待や認識差を、安全に言葉にする
- 一人ひとりの凸凹を知り、強みが噛み合う役割をつくる
- 社員の成長に投資する会社の意思を、行動で示す
大企業のような階層別研修や配置転換の機会が少ないからこそ、会社が時間と費用をかけて学びの場をつくることは「あなたを単なる労働力ではなく、会社の未来をつくる人だと考えている」というメッセージになります。
私が、少人数チームの支援を重視する理由
私は小規模事業を営む家庭で育ち、航空会社の中国国内の支店では、日本人と中国人が混在する少人数チームで働きました。国土交通省に関連する研究団体では、10人未満の事務局で、多数の企業や専門家が関わる組織運営にも携わりました。
さらに、多様性、生産性、働く人の幸福を両立させるフィンランド発の対話型会議やファシリテーションを学び、企業研修へ活用してきました。
そこで確信したのは、多様な人を集めただけでは、多様性は力にならないということです。違いを安全に表へ出し、互いの知性として使える関係性があって、初めて新しい成果につながります。
会社を大きくしたいなら、10〜20人規模の今が好機
会社が成長する時、増えるのは人数だけではありません。今ある役割の曖昧さや関係性の癖も、組織文化として広がります。
10〜20人規模は、全員または主要メンバーが一つの場に集まり、関係性、役割、判断軸を整えやすい時期です。
一般社団法人企業の未来づくり研究所では、主に社員10〜50名程度の組織を対象に、関係性構築、ビジョン共創、リーダー育成、会議・合意形成など、現在の課題に合わせた対話型組織開発・参加型研修を設計しています。
自社の組織課題と「最初の一手」を整理する
無料相談では、現在の詰まりが、関係性、役割、会議、リーダー育成のどこにあるのかを伺い、単発研修と継続支援のどちらが適しているかを一緒に整理します。
寄稿:一般社団法人企業の未来づくり研究所 石島幸子
編集:ハイタッチ・マーケティング有限責任事業組合 職務執行者 柳澤研
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